仕事が合わないなど、何らかの理由で仕事を辞めたくなる時があります。仕事を辞めたくなる理由は人により様々です。同じことを感じていても、それが辞める理由になる人もいれば、そうではない人もいます。仕事を辞めたくなる理由を列挙し、その理由に普遍性があるかどうかや、理由の原因を探ることは大切です。辞めるにしても辞めないにしても、その理由をよく理解し、自分に当てはめてみることが必要です。
もし、辞める理由が一般には重要と思われていない場合でも、自分にとって重要なことであれば、辞める理由になりえます。また、職場が嫌だと漠然と思っている人でも、辞める理由を考えて見ることで、職場が嫌になる理由がわかるはずです。社会で一般的に言われている、仕事を辞める理由について解説します。
パワハラやセクハラで悩んでいる
辞める理由の中で最も多いのが人間関係です。閉鎖性の高い日本の職場組織では、欧米社会では考えられないような人権侵害が起こりえます。パワハラやセクハラは、それを被った被害者にとっては、精神的に大変な苦痛となります。辛い毎日を送るよりも、環境を変えてみるのも良い方法です。パワハラやセクハラが深刻化するのは閉鎖性の高い組織に見られる現象です。
欧米社会は職場に閉鎖性は無いものの、軍隊などの閉鎖性の強い組織では起こりえる問題です。縦社会と職場の共同体化を要因とする閉鎖性は、日本のどの組織でも見られます。その環境化において、職場で運悪くパワハラやセクハラを被っているとしたら、辞めるかどうかの基準は、受けている被害の程度です。継続的にエスカレートし、抗議しても改善の余地が無ければ、決断が必要です。
残業時間と残業代が割に合っていない
日本の職場では、残業への報酬が適切に支払われていない場合があります。本来職場は、従業員の労働に対して正当な報酬を支払う義務を負います。ドライに考えれば、報酬を得られない場合は、仕事をする必要がないと言えます。しかし、日本の職場の特殊性として、正社員という立場の存在があります。パートや非正規社員には残業代を支払っても、正社員には支払わないという場合もあります。
正社員はパートや非正規社員とは別の待遇を受けているのが一般的です。正社員は原則として解雇されず、一生その職場で雇用してもらえるという暗黙の了解がされているのであれば、残業代が支払われなくても、問題視する必要性は薄くなります。しかし、一生の雇用を約束されていない正社員の場合は、残業代の支払いには敏感であることが必要です。
有給休暇や休みが取りづらい
有給休暇や休みが取りづらいのは、多くの職場で言えることです。定められた有給休暇や休みは、原則として取得できると考えられます。しかし、職場の忙しさから、滅多に取れない場合もあります。仕事が多すぎることや、人手が足りないことが原因で有給休暇や休みが取りづらいのは、経営者に問題があります。仕事の量を減らすか、人手を増やすかの対策をとらずに、従業員に負担を押し付けるのは良くありません。
有給休暇や休みが取りづらいことが仕事を辞める理由につながるのは、一時的なものか継続的なものかの判断によります。一時的なものであれば、我慢することも必要です。しかし、長期的な場合は、労働問題となりえます。長期的に有給休暇や休みが取りづらく、抗議しても改善が見られない場合は、辞めることも選択肢となります。
理由もなく給料が下がった
理由もなく給料が下がったと思われても、何らかの理由はあるはずです。経営者は理由なく給料を下げることはありません。問題は給料を下げた理由です。業績が悪いなど、やむを得ない理由がある場合は、仕方がない面があります。その場合は経営者に明確な説明を求める必要があります。理由もなく給料が下がるとなった場合は、経営上の何らかの問題を心配する必要があります。
経営者が従業員の給料を下げるのはよほどのことです。組織の維持に必要な資金の確保ができないことが理由で、給料が下げられる場合がほとんどです。営利を目的とした組織は、一定の利益が確保できなければ倒産します。給料が下がったことが近い将来の倒産につながるかどうかを判断し、自らの身の振り方を考える必要があります。
いつまでも各種保険に加入できない
いつまでも各種保険に加入できない職場は、小規模な職場がほとんどです。家族経営で行っている小さな会社では、職員の福利厚生に重きをおかずに、各種保険に加入していない場合があります。そのような会社には通常、優秀な従業員は集まりません。各種保険は従業員にとって、将来の生活設計に必要なものです。各種保険にいつまでも加入できない職場は、長くいる職場ではないことを理解する必要があります。
そのような職場に入った場合は、特別な事情がない限り、転職を常に考えておく必要があります。小さな会社でも従業員を大切に考えているのであれば、各種保険への加入はするはずです。それをしないで、従業員を放置しておく会社は、良い会社であるはずがありません。次の転職先が見つかった時点で、辞めるのが妥当です。
将来性を感じなくなってしまった
変化の激しい時代にあって、客観的に見て将来性がない職場には、早期に見切りをつけることが大切です。将来性のない職場は、たとえ大きな会社であっても、遠くない将来に倒産する可能性があります。一般に会社が倒産する場合は、そのことを事前に察知した優秀な社員から順に辞めていくと言われています。倒産寸前まで残っている社員は優秀ではない社員で、割を食うことになります。
今いる職場に将来性が感じられなくなった場合は、経営状態や業界の情勢を見直してみる必要があります。もし、倒産や組織の廃止の可能性が否定できない場合は、早めに次の職場を見つけることが大切です。その組織に未来があるかどうかは、始めは先見性のある人にしかわかりません。自分の判断で見切りをつけることが大切です。
治らない身体の異常が出てきた
無理な仕事を続けていると、治らない身体の異常が出るようなことがあります。そのような異常が出た場合は、重要なサインとして認識する必要があります。このまま仕事を続けるのは無理と判断し、何らかの対策をとらなければなりません。原因を特定し、その原因を無くすことができるかどうかを考えることが大切です。身体の異常を感じたら、とりあえず、休みをとることが必要です。
生命に関わる事態も予想されるので、休みをとることは優先事項です。その上で、何が原因で身体に異常が出たのかを冷静に分析します。この段階では、無理をすることは避けなければなりません。無理をして仕事を続けると、取り返しのつかないダメージを被ることになりかねません。休職ができればその選択をし、できなければ退職もやむを得ないことです。
職場で仲間と呼べる人が一人としていない
職場で仲間と呼べる人が一人もいない事態も考えられます。日本の閉鎖的な組織では、村八分のようなことも起こりえます。そのような異常な事態は、改善しなければなりません。しかし、故意に全員から敬遠されているのでない限り、仲間がいないくらいで異常と感じる必要はありません。本来職場は楽しく過ごすための場所ではなく、仕事をするための場所です。
業務を遂行するためのチームは必要でも、仲間は必要ありません。大切なのはその組織に必要とされているかどうかで、金銭的な報酬を受けている限りは、必要とされていると判断して間違いはありません。窓際族と言われる人たちも、組織にとっては何らかの必要性がるので存在できています。本当に必要な無い人間には、金銭的な報酬は支払われません。
1日が終わるのを待つように仕事をしている
仕事にやりがいが無く、1日が終わるのを待つように仕事をしている人も中にはいます。あまりにも細かくルールが決められた仕事は、退屈なものです。結果の予想がつく仕事も、面白みがありません。人は皆、創造的な仕事をしたがっているので、退屈な仕事には耐えられないかもしれません。しかし、退屈だからと言って、簡単に職場を辞められない場合があります。
仕事をする目的が、生きる上での最も大きな目的である場合は、退屈な仕事は問題があります。しかし、仕事をする目的が家族を養うことである場合は、お金さえ取れればよいはずです。人生の主な目的が何であるかを考えて、仕事を位置づけることが大切です。もし、生きる上での最も大きな目的が今の仕事ならば、仕事を変えることを真剣に考える必要があります。
社風が合っていない
働いている会社の社風が合わないと感じることがあります。就職活動の段階では、就職希望者も会社側も建前で話を進めてしまうことがよくあります。会社側は威信をかけて、本音が言えない場合があります。就職希望者の側も、自己の把握ができてなく、本当の自分を知らないままでの就職活動を行ってしまいます。両者の誤解が重なることで、入社してからの行き違いが生じてしまいます。
社風が合わない場合は、自分を変えるか、社風を変えるかのどちらかです。社風が合わないと感じているままに仕事を続けた場合は、どこかで破綻をきたします。とは言え、社風を変えることも自分を変えることも簡単ではなく、多くの場合不可能です。自らを省みて、社風が合わないと判断した場合は、辞める決意を固め、次の職場を探すのが正解です。
どんなに頑張っても仕事が終わらない
どんなに頑張っても仕事が終わらないことや、仕事を思ったように遂行することが、能力的にできない場合があります。そのような場合は、ことの良し悪しを自分で判断するのは危険です。上司や経営者は、そのことに対してどう考えているかが重要です。もし、上司や経営者が今の仕事の仕方ではダメだと言っているのであれば問題です。
しかし、今の仕事の状態を快く思っていなくても、クビにする程ではないと思っているのであれば、自分の頑張りで解決できる問題です。仕事にノルマがあり、そのノルマを遂行できない場合でも同じことです。自らが納得するかどうかではなく、雇っている側がどう思っているかが重要です。雇っている側が許容範囲と思っている間は、自らの努力により仕事の能率を上げる努力をすることが望まれます。
私生活がないに等しい
私生活が無いほど職場に時間ととられることは、日本の職場では良くあることです。しかし、一定の私生活は生きていくためには必要なことです。私生活が無いほどの残業や休日出勤が日常化している職場は、それだけで辞める理由となります。忙しさが一時的な場合は、我慢するのも一つの方法です。その程度我慢するかは、自分の心とからだに聞く必要があります。
職場の上司や同僚がどう考えているかも、判断の材料となります。今の状況に皆が満足しているかどうかを冷静に分析します。もし、私生活の無い状況に皆が満足しているような職場は、辞めてよい職場です。日本人の中には、私生活が無い方が良いと考えている人が少なからずいます。その人たちの目的は、だれにも抜け駆けをさせないことです。
身近な人に心配されることが多くなった
身近な人に心配されることが多くなるほど、心とからだが消耗しているとしたら、一大事です。即刻何らかの対策をとる必要があります。自分では気づかない間に、心とからだが消耗しきっていることは珍しいことではありません。身近な人に見つけてもらったのが何よりの幸いです。そのような場合は即刻休暇をとり、冷静になって今の状況を判断することが大切です。
人間の心やからだの状態は、よほど悪化しない限り、外からはわかりにくいものです。身近な人であればこそ、ちょっとした変化を見逃さないことができます。その時点で適切な対応をすれば、大きな事態に発展することはなくなる可能性があります。しかし、無理をし続けると、自らを破綻に追い込むことになります。早めの状況判断は、自らを助けます。
仕事が始まる前日や休み明けの朝が憂鬱
仕事が始まる前日や休み明けの朝が憂鬱になるのは、正常な状態ではありません。生きがいを持って適切な仕事をしているのであれば、仕事が始まる前日や休み明けの朝が憂鬱になることはありません。仕事がうまく行っている時は、仕事が始まるのが待ち遠しいものです。問題が短期的な場合は、その場だけの解決策を考えるだけで足ります。
しかし、問題が長期的で深刻な場合は、抜本的な改善策が必要です。解決には問題点の洗い出しが必要です。不満な点や問題となる箇所を洗い出し、解決が可能かどうかを検討します。問題点が明らかでない場合は、一人になって考える時間をつくることも大切です。時間に余裕があれば、旅行に行くのも効果的です。日常から離れた時間を持つことで、日常の問題点を発見できるかもしれません。
甘い物やアルコールなどの依存するようになった
仕事をしていく上で何らかの不満が溜まり、甘い物やアルコールに依存してしまうことがあります。それ自体で急速に健康が悪化することはありませんが、不満が溜まることによるからだや心への影響が心配されます。甘い物やアルコールへの依存は、長期的な問題点があることを示しています。長期的な問題点は、長期的な視点から解決することが必要です。
仕事や職場に慢性的な不満が溜まっていたり、別にやりたいことができたりした場合は、現状に満足できない状態となります。その原因を良く考えることで、解決策が見えてきます。職場をやめることが解決につながる場合は、行動を起こすことが求められます。不満や問題は、我慢できるものとできないものがあります。無理な我慢は長続きせず、抜本的な解決が必要です。
会社で常に辞めたいと考えている
会社で常に辞めたいと考えている場合は、上司や先輩へ相談してみる必要があります。自分だけで考えていた場合は見えなかったことが、上司や先輩ならば見えることもあります。辞めたい気持ちを抑えているだけでは、やがて辞めざるをえないことになります。辞めることを決断する前に、他の人の意見を聞いてみることが必要です。
意見を聞いた上でさらに考え、それでも辞めたい場合は辞める決断をする必要があります。辞めたい理由は様々ですが、今の職場が自分に合っていないことは確かです。我慢が必要なのは、辞めたい原因が一時的なものか、本質的ではない場合です。特に修行期間は、毎日辞めたいと思うこともあります。しかし、仕事が一人前にできるようになると、辞めたい心はなくなります。辞めたい理由を良く考えることが大切です。
労働組合がないもしくは入れない
小さな会社の場合は、労働組合がない場合があります。強い力を持つ会社に対して、一人の個人が対抗できることは限られます。無理な転勤や人事異動、給与や残業等の不満は、労働組合を通して全体で解決する方が効果的です。労働組合がある場合は積極的な参加が望まれます。入れない場合は入れるような手立てをし、労働組合がない場合は、仲間を集めて結成するのも方法の一つです。
労働組合の結成は労働者に認められた権利です。与えられた条件の中で働くのではなく、積極的に労働条件を改善していく気持ちが大切です。労働組合をつくったら、会社からにらまれることになったのは昔のことです。特定の政治形態を支持するのではない、通常の労働組合は、労働者の権利を守るものです。今の時代にこそ、労働組合の存在は必要です。
尊敬できる先輩や上司がいない
働く組織の中に、尊敬できる人が見当たらないことは、深刻な問題です。しかし、どんな組織も世の中の役に立つ仕事を行っているはずです。それを担う従業員の中に、一人は尊敬できる人がいるものです。小さな会社の場合は、社長が尊敬できる人であることが多いはずです。職場の中に、一人でも尊敬できる人がいたら、それで満足する必要があります。
そもそも、世の中に尊敬できる人が多くいるわけではなく、また、その人に会える可能性も低いはずです。その中にあって、尊敬できる先輩や上司がいたとしたら、これ以上の幸運はありません。その先輩や上司を見習うことで、将来、そのような人になれる可能性があります。尊敬できる先輩や上司、或は同僚が本当にいない場合は、自らが尊敬される存在になる方法もあります。
自分で使ったお金を何に使ったのか思い出せない
仕事で疲れが溜まってくると、何にお金を使ったのかが思い出せない状態となることがあります。精神的にまいっている可能性があり、解決策を探る必要があります。多くの場合、精神状態の混乱は長期の休みをとることで解消されます。しばらく休みをとっていない場合は、長期的な休みをとることが必要です。休みをとることを認められない場合は、職場を辞めることも選択肢です。人間には健康を維持するために、最低限の休みが必要です。その休みを取得できない職場は、継続して働く価値の無い職場です。経営者は必ずしも従業員の幸せを考えているわけではありません。自分の幸せは、自らで作り出す覚悟が必要です。職場に全てを委ねるのは危険です。自らの人生の手綱は、自らが握る必要があります。
仕事が精神的にも肉体的にも辛い
仕事が辛いと感じることはよくあることです。問題はそれが本質的な辛さかどうかです。自らを成長させる辛さは必要悪の面があり、許容できます。しかし、自らの成長とは関係のない辛さや、キャパシティを超える辛さは避ける必要があります。仕事が辛くなった場合の解決策として、休みをとることがあります。
仮病でも何でも、一応の理由をつけて休んでみると、辛さが薄れるものです。休みをとったくらいでは解消されない辛さの場合は、その原因を突き止める必要があります。仕事が辛いと感じた時にしてはいけないことは、自らを責めることです。世の中は理不尽なものなので、自分を責めていてばかりでは身が持ちません。自らを責めず、辛さを避ける手段を見つけることも、生きていくためのテクニックです。
いずれ辞めるなら今できることをしよう!
本来、新卒で入った職場で一生働くことは、必ずしも幸せではありません。自分に合った職場を求めて転職したり、やりたい仕事のために起業したりすることが長い人生には必要です。新卒で入った職場での仕事にやりがいがあり、結果として働き続けるならば問題はありません。しかし、辛さや不満が継続的で本質的なものならば、転職をためらうべきではありません。
いずれ辞める職場だと思っていれば、気持ちが楽になります。その職場で一生働き続けなければならないと考えると、少しのことでも辛く感じてしまいます。すでに優秀な人間は、終身雇用に身を置いてはいません。若くして起業したり、転職を繰り返すことは、もはや、当たり前となっています。辞めることを当たり前と考える時、今働いている職場でのやるべきことが見えてきます。