薬剤師の転職市場での価値は非常に高く、超売り手市場であると言えます。
しかし転職して短期間で後悔する薬剤師や何度も転職を繰り返す薬剤師が存在することも事実です。

後悔のない転職をしないように、薬剤師が絶対に失敗しない転職活動のポイントや方法を紹介します。

なぜ薬剤師が転職に失敗するのか?5つの具体的な要因

転職エージェントや薬剤師転職サイトおすすめでは、数多くの人材が募集されています。

まず、「案件が多いにも関わらず」「納得して決断したにも関わらず」なぜ薬剤師が転職に失敗するのか、その具体的な理由を紹介します。

選考時など、入る前に聞いていた話と入った後の話が違う

面接時に説明された給与や職場環境、人間関係に関する話などが、入ってみると実情と全く異なっていた、というケースはよく聞きます。

例えば、「〇〇万円の月額給は保証すると聞いていたのに残業や休日出勤などをしないとその金額が支給されなかった」「残業は10時間程度と聞いていたのに30時間、40時間は当たり前だった」「定着率が高いと聞いていたのに在籍年数が浅いスタッフばかりだった」といった点です。強い不信感を抱くでしょう。

キャリアチェンジしたものの合わなかった

スキルの幅を広げるため、またキャリアアップを目指して別の業態(病院から企業、調剤薬局からドラッグストアなど)に転職したものの前職の方が自分の方に向いていた、もしくはついていけない、と感じてしまうケースです。

転職先が同じ医療業界であり薬剤師資格を活かせる業務であったとしても、別の業態では職種は未経験となりますので、実際に勤務すると「合わない」と感じる可能性は十分にあります。

タイミングが合わなくて入職できなかった

応募者が希望する入職時期と企業が希望する入職時期が合致せずに選考が見送りになる、というケースです。待遇や仕事内容が希望通りで面接官との相性が良い場合でも、応募先が希望する時期に入職できないと見送りになってしまうことはあります。

中途採用は「すぐに勤務して欲しいから」募集を行っているのです。入職可能時期は選考の大きな要素です。

相談できる人が周りにいない

転職に関する悩みはなかなか人には相談しづらいことです。周りに相談せずに転職活動を行い客観的に判断することができず、結果的に誤った選択をしてしまうことがあります。

特に薬剤師の転職市場に関しては他の業界の方から理解が難しい上に転職慣れしている薬剤師も少ないでしょう。転職に関して相談できる方は少ないかもしれません。

自分の力で転職しようとしたが交渉がうまくいかない

転職経験が少ない薬剤師が自分の力だけで転職活動を行う場合、どんな対策をしてどのように交渉すれば良いのか分からない事があります。適切な面接対策を行うことができず、書類選考に通ってもその先に進めないことが原因で転職活動がうまくいかないということもあるでしょう。

転職エージェントを利用せずに自分のペースで求職する場合には、転職に有利な交渉術や志望動機の書き方等についても自力で勉強する必要があります。

薬剤師が転職を確実に成功させるために意識しなければいけないポイント

では、薬剤師が転職を成功に導くために、転職活動中に意識しなければポイントや確認事項を紹介します。

なぜ転職したいのか?その具体的な理由を常に考える

転職活動において「なぜ転職したいのか?」を具体的に説明できるかはとても大切です。現職に不満を感じて転職を考えている方は、「どこに不満がありどうすれば解消できるか?」を説明できるようにしてください。具体的な不満を明確にしないと選考中に確認することができず、転職しても同様の不満を抱く可能性があります。

たとえば現職の年収が低すぎると感じている場合、転職活動に入る前に薬剤師の年収の中央値を把握する事が大切です。令和5年度に人事院が行った調査によると、薬剤師の年齢別の平均年収は以下の通りです。(※各年齢層の薬剤師が毎月決まって受給する給与の12ヵ月分を年収として算出)

薬剤師の年齢 年収
24~28歳 約373万円
28~32歳 約406万円
32~36歳 約420万円
36~40歳 約450万円
40~44歳 約506万円
44~48歳 約476万円
48~52歳 約507万円
48~52歳 約536万円
56歳~ 約518万円

参照元:令和5年職種別民間給与実態調査の結果:900024665.xlsx (live.com)

薬剤師のリアルな年収を知る事で、「現在の給与は本当に低すぎるのか」「希望する年収をどの程度に設定するべきか」について現実的な見方をすることができます。

待遇のみで判断しない

高い給与額の提示があっても、また残業が少なく休みが多い企業から内定が出たとしても手放しで喜んで入社を決断してはいけません。

いくらお給料が良くてもとてもハードな環境かもしれませんし、休みや勤務時間が納得のいくものでもスキルアップできない環境、やりがいがないという環境かもしれません。

事前に職場を見る

自身の働く場所を見ることは重要です。どのような設備があるのか、働いている人の雰囲気はどうなのかなど、面接では確認できない重要な情報は実際に職場を見学させてもらってください。その職場がご自身に合わない可能性もありますので。

研修制度、サポート制度を確認する

未経験の分野へ転職する場合、未経験者に対してどのような研修やサポートが用意されているのかはしっかりと確認してください。

未経験で入社してもOJTばかりで研修やサポートがなかったり、周りのフォローがなかったり、という環境であれば短期間で活躍することは難しいでしょう。

薬剤師が転職に失敗しないために避けなければいけないこと

薬剤師が転職に失敗しないために避けなければいけないことを説明します。いずれも転職活動においてつい行ってしまいそうなことばかりです。ご注意ください。

「薬剤師は売り手市場」と過信をしない

薬剤師の転職市場における価値が高いことは事実ですが過信は禁物です。現職に何らかの不満を感じて「募集先は多いから」と転職を繰り返すとどんどん希望の職場へ転職できる可能性が低くなっていきます。

年齢も上がっていきますし「こらえ性がない」と選考で評価されるからです。「次が最後の転職」という気持ちで活動に取り組んでください。

次が決まってから退職する

転職活動はできる限り就業しながら行ってください。

「現職が多忙で転職活動に費やす時間がないから」「どうしても我慢できないから」という理由でまず退職をして転職活動を行う方がいらっしゃいますが、ブランクができると選考に不利になりますし(計画性がない、という印象を受ける)、もし離職期間が長引くと焦って不本意な転職をする可能性があります。

現職への相談は絶対にNG

転職に関する相談は現職に在籍している人には絶対にしないでください。いくら注意しても話が漏れてしまうことがありますし、話が漏れるとどのように話が伝わるかわかりません。

上層部に伝われば現職内での評価が下がることになり、引き留めに合うこともあります。

薬剤師が転職を成功させる方法

では、薬剤師が転職活動を成功させるための具体的な方法を説明します。下記の方法をいずれも行うことができれば希望の職場に転職できる確率を上げることができるでしょう。

転職エージェントを利用する

転職エージェントは転職市場を熟知していますし、よりよい転職を行うためのノウハウを有しています。さらに応募先との間に入って応募者が直接やりにくい交渉事も行ってくれます。転職活動のツールとして上手く利用してください。

複数の案件に応募する

転職活動は複数の案件に応募してはいけない、というルールはありません。むしろ積極的に応募することをおすすめします。

環境や待遇、仕事内容を比較できるので判断するための材料となること、さらに「一件応募してその応募先へ」よりも「複数案件に応募してその中から選択して」のほうが納得のいく、後悔の少ない転職活動になるからです。

条件は書面で確認する

面接で待遇面やポジション(役職)、仕事内容、勤務時間や休日などの説明があるかもしれませんが、内定に至った際にはこれらの項目を書面で確認をしてください。

口頭での約束は100%信用できるものではなく、「言った、言わない」で揉める可能性もあります。そのようなリスクは回避しましょう。

薬剤師は退職理由をどう伝えるべきなのか?面接や退職時の最適な伝え方

転職活動において、「退職したい理由をどう伝えるか」は重要なポイントです。面接の際に面接官が納得できるように説明しないと選考が通過しませんし、退職交渉を行う際に上司や人事にうまく伝えないと円満退職が難しくなります。

今回は、薬剤師が転職活動を成功させるために、どのように退職理由を伝えればよいのかを解説します。

薬剤師が転職したい理由とは?代表的な理由を紹介

まずは薬剤師の転職理由で代表的な理由を紹介します。転職したい、という理由は人によって異なり、様々な退職理由がありますが、薬剤師ならではの理由もあることもご理解いただけるはずです。

人間関係に不満を持ったため

人間関係の不満は薬剤師の転職理由で最も多い理由です。薬剤師は限られた環境(ある意味閉鎖的な職場)で限られた人間と業務を行っている、という方がほとんどです。

もし勤務先にどうしても合わない人がいる場合や、職場の雰囲気が悪い場合は、新たな職場で勤務したいと考えるのは仕方のないことかもしれません。

給与アップを希望して

より良い給与条件の職場で働きたいと希望される方は多く、これは薬剤師も同様です。特に病院で勤務している薬剤師に多い転職理由です。

病院薬剤師は調剤薬局やドラッグストア、企業に勤務している薬剤師と比較すると給与額は低いからです。

因みに、現在薬剤師は転職市場の価値が高く超売り手市場です。調剤薬局やドラッグストアでも積極的に人材募集を行っています。競争が激しいと他の案件との差別化を行うため給与額を高く設定する案件も増えていきます。給与アップを希望している薬剤師にとって現在の転職市場の状況は大きなチャンスです。

キャリアアップ、スキルアップを希望して

「より幅広い仕事をしたい」「上流の仕事をしたい」「規模の大きな仕事をしたい」と希望はしているものの、現在の職場では実現ができないから転職したい、という転職理由です。

知識や経験の習得に貪欲な方、モチベーションが高く積極的に業務に取り組む方がこのような希望を抱いています。他の業種に転職、いわゆるキャリアチェンジをしてキャリアの幅を広げたい、と希望される方も同様の理由と言えるでしょう。

待遇や環境の改善のため

職場の設備やツールが整っていない、衛生状態が悪いなどの職場環境に関する不満や、拘束時間が長い、休みがとりにくい、通勤が大変などといった勤務状況に対する不満などを改善するために転職を希望する薬剤師も多く存在します。

病院で勤務する薬剤師は夜勤や当直業務が発生するので肉体的にも精神的にもハードで常にプレッシャーを受けながら勤務していますので、負担の少ない職場への転職を希望されている方もいらっしゃいます。

薬剤師が面接の際に転職理由をどう伝えればよいのか?

面接において「転職理由」は必ず確認される上に大きな評価ポイントとなります。たとえ不満があって現在の職場を退職したいと考えていたとしても、面接で不満ばかり話していては面接官にネガティブな印象を与えてしまい選考に不利になってしまいます。

面接で転職理由を伝える際に注意しなければいけないポイントを紹介します。

客観的に聞いて納得のいく転職理由かどうかを確認する

面接で転職理由を説明する内容は、「誰もが聞いても仕内容なのか」どうかを事前に確認してください。

例えば、転職理由が人間関係の問題だったとしても面接でそのまま話をしても個人攻撃になってしまう可能性が高く、話を聞く側はいい気分はしません。そのような方を採用しても職場が上手くいくと判断されないでしょう。

また、給与アップを希望するのであれば、「なぜ現職の給与が不満なのか、どのぐらいの金額が希望なのか、その金額の根拠はなぜなのか?」まで説明できるようにしなければいけません。金額に関する具体的な説明ができないと、「もし転職しても他のより良い条件のオファーの案件があればその職場に移るのではないか」と懸念されるからです。

転職理由が志望動機との整合性があるかどうかを確認する

面接では転職理由と志望動機、いずれも確認されますが、それぞれの内容に整合性がなく矛盾していると評価は悪くなりますし選考が通過することが難しい、と認識してください。

転職理由が「現職の職場環境に不満を持っているため」と説明した方が志望動機で「年収アップを実現したいから」と説明しても整合性がないということはご理解いただけるでしょう。

前向きな転職理由、ネガティブな理由、いずれも伝える

面接で転職理由を伝える際には、前向きな理由とネガティブな理由のいずれも用意して伝えるようにしてください。

前向きな理由だけでは信ぴょう性に欠け説得力があるとは言えませんし、逆にネガティブな理由だけでは不平不満が全面に出てしまい選考の印象が悪くなるからです。「キャリアアップを希望していることと現在の職場の将来性に不安なため」といった内容を具体的に説明できれば面接官も納得するでしょう。

面接に備えて逆質問を考えておくなら意欲を示せる

転職先が病院か薬局かに関わらず、転職面接は基本的に面接官からの質問に答える形で話が進んでいきます。一つ一つの質問に丁寧に答えるようにしましょう。面接の最終段階では多くの場合「ほかに何か質問はありますか?」といった逆質問が行われます。

こちらから質問できる機会を与えられた時に「特にありません」と答えたり、沈黙の時間が長く続くと意欲がないと見られて薬剤師の面接に落ちるリスクがあります。逆質問に備えてあらかじめ聞きたい事を考えておくことが大切です。

ただし、質問が多すぎると事前調査をしないで面接に臨んでいると誤解される恐れがあるため、一つか二つの質問に絞っておくと良いでしょう。

現職に退職の意を伝える時の注意点

では、次に現職を退職の意を表明する際にどう理由を伝えるべきかを解説します。円満退職を希望されている方は参考にしてください。

「立つ鳥跡を濁さず」ことを忘れずに

退職したい、転職したいという理由のほとんどは何らかの不満に起因します。しかし、いくら不満があったとしても退職の意向を表明する際にその不満を前面に出すことや感情的になることは避けなければいけません。少なからずお世話になった職場です。「立つ鳥跡を濁さず(引き際は美しくあるべきということわざ)」という気持ちで社会人としての対応をとりましょう。

退職理由とは直接関係ありませんが、早く退職したいからといって、退職規定を無視して引き継ぎも行わず出社しない、ということは社会人として言語道断です。

本音と建て前を使い分ける

退職の意を表明した際に必ず理由を聞かれますが、前向きな理由や致し方ない理由以外は敢えて伝える必要はありません。たとえ何らかの不満で退職するとしても、「家庭の事情」や「希望している職場への転職が決定した」などの無難な理由を伝えた方がスムーズに退職することができます。

引き止めに合うことは覚悟して理由を考える

薬剤師は人手不足です。退職されると職場に大きな影響を与えます。また、メンバーが退職すると上司の人事評価が下がります。退職を表明すると引き止めに合うことは間違いありません。退職の意を伝える時は「どのような説得があっても必ず退職する!」という強い気持ちを持ってください。

退職の意を伝えると、上司や人事から給与アップなどの待遇改善を提案されて引き留めに合うかもしれません。しかし冷静に考えてください。大抵の場合その場しのぎの提案であり尚且つ口頭での約束です。他のメンバーとのバランスもありますので簡単に一人だけ待遇改善を行うことは難しいはずです。

退職の意を表明した後の待遇改善の提案は信用できない」ということを理解してください。

まとめ

薬剤師が転職したいという理由は様々ですが、ポジティブではなくネガティブな理由(人間関係や待遇改善、環境改善など)で転職を考える方のほうが多いかもしれません。

しかし、どの職場でもそのようなリスクがあることは忘れてはいけません。慎重に転職活動を行ってください。

薬剤師の転職市場の価値が高いのは事実ですが、選択肢が多いからといって安易に転職先を決めたりはせずに、しっかりと情報収集を行い、納得した上で最終的な決断しましょう。